実車率とは|積載率との違いと運行データでの測り方

はじめに

実車率は、走行した距離のうち、貨物を積んで走った距離が占める割合です。車両にどれだけ貨物を積んでいるかを見る積載率とは、確認する対象が異なります。

空車走行を把握するには、便名や配車予定だけでなく、積込み・荷卸しに応じて走行区間を分け、実際に貨物を積んでいたかを確認することが重要です。

本記事では、運行管理・物流企画担当者向けに、実車率の計算方法、積載率との違い、運行データを使った集計手順を解説します。社内改善用の管理方法と、行政への報告に必要な集計条件は分けて確認してください。

実車率は貨物を積んで走った距離の割合

国土交通省の自動車輸送統計では、実車率を、走行距離のうち貨物や旅客を輸送した距離の割合としています。貨物輸送については、次の式で計算します。[1]

実車率(%)=実車走行距離÷総走行距離×100

実車走行距離は、実際に貨物を積んで走った距離です。総走行距離には、同じ集計範囲の実車走行と空車走行を含めます。

例えば、総走行距離が300km、そのうち貨物を積んで走った距離が200kmなら、実車率は約66.7%です。

200km÷300km×100≒66.7%

停車中の荷待ち時間や荷役時間は、この距離の計算には直接入りません。時間を基準とする社内指標を作る場合は、距離基準の実車率とは別の名称・定義で管理しましょう。

積載率との違いを整理する

積載率は、積載能力に対して、どれだけ貨物を積んでいるかを見る指標です。公式Q&Aでは、基本を「積載重量÷最大積載重量」とし、貨物の形状等によっては容積基準で捉える場合もあると説明しています。[2]

指標主に確認すること計算の基本
実車率貨物を積んで走った距離の割合実車走行距離÷総走行距離
積載率積載能力に対する貨物の量重量基準では積載重量÷最大積載重量
積載効率空車走行も含む輸送能力の利用状況輸送トンキロ÷能力トンキロ

表の各比率を百分率で表示する場合は、100を掛けます。

貨物を少量だけ積んで走っていても、その区間は実車走行に当たります。そのため、実車率が高くても、積載率が高いとは限りません。

反対に、往路を満載で走っていても、復路が空車であれば、往復を対象とする実車率には空車走行が反映されます。二つの指標を併せて確認すると、課題を整理しやすくなります。

最初に対象期間と走行範囲を決める

計算前に、どの車両・期間・区間を集計するかを決めます。

例えば、次のような違いがあると、同じ運行でも結果が変わります。

  • 車庫を出発して戻るまでか、集荷先から納品先までか。
  • 往路だけか、復路も含むか。
  • 特定の荷主の輸送区間だけか、車両の一日の運行全体か。
  • 日次・月次など、どの期間で集計するか。

集荷先までの空車移動や、荷卸し後の帰庫区間を集計範囲から外した数値を、車両全体の実車率として表示しないようにしてください。

構内走行、整備のための移動、期間をまたぐ運行などについても、社内指標の取扱いを決めて記録します。公的統計や法定報告と比較・連携する場合は、相手側の対象範囲に合わせた確認が必要です。

積込みと荷卸しに応じて区間を分ける

実車・空車の判定には、走行記録と貨物の積卸し記録を組み合わせます。

配車予定では貨物を積むことになっていても、実際には取消しや運行変更が発生している場合があります。予定と実績は区別してください。

GPSの位置や速度の記録だけでは、貨物の有無を確認できるとは限りません。運行日報、集配実績、積卸し記録、運送事業者への確認などを使って判定します。

社内管理では、区間の状態を次のように分ける方法があります。

  • 実車:貨物を積んで走行したことを確認できる。
  • 空車:貨物を積まずに走行したことを確認できる。
  • 未確認:記録不足などで貨物の有無を判断できない。

これは社内のデータ管理例であり、公的様式に共通の三分類が指定されているという意味ではありません。

複数の納品先を回る便では、途中で一部を荷卸ししても、貨物が残っていれば実車走行です。返品や回収物、輸送用機器などを運ぶ区間は、名称だけで空車と決めず、何を輸送しているかと採用する定義を確認しましょう。

仮想例で区間別に計算する

以下は説明のための仮想例であり、実在企業の実績ではありません。車庫を出発して戻るまでを対象とし、すべての区間で貨物の有無を確認できたものとします。

区間距離状態
車庫から集荷先A20km空車
集荷先Aから納品先B120km実車
納品先Bから集荷先C30km空車
集荷先Cから納品先D80km実車
納品先Dから車庫50km空車

総走行距離は300km、実車走行距離は200kmです。

総走行距離=20+120+30+80+50=300km

実車走行距離=120+80=200km

実車率=200÷300×100≒66.7%

この例では、残りの100kmが確認済みの空車走行です。すべての走行区間を実車か空車のいずれかに分類できているため、空車走行の割合は約33.3%になります。

未確認の区間がある場合は、実車率の残りをそのまま空車走行の割合と扱うことはできません。

複数運行は距離を合計して集計する

複数の運行をまとめた実車率は、対象となる実車走行距離の合計を、総走行距離の合計で割って求めます。

集計対象全体の実車率(%)=実車走行距離の合計÷総走行距離の合計×100

例えば、A運行は総走行100km・実車80km、B運行は総走行200km・実車20kmだったとします。

A運行の実車率は80%、B運行は10%ですが、二つを単純平均した45%は、対象全体の実車率ではありません。

対象全体では、次の計算になります。

(80km+20km)÷(100km+200km)×100≒33.3%

運行ごとの割合を平均した指標を別途使う場合は、その目的と平均方法を明記し、距離を合計して求めた実車率と区別してください。

データ不足は空車やゼロとして補わない

積卸しの記録がない区間を、自動的に空車と判定しないでください。反対に、前の区間が実車だったことだけを理由に、その後も実車と決めつけないようにします。

まず、次の情報を確認しましょう。

  • 車両を特定できる情報と運行番号。
  • 区間の出発地・到着地・時刻。
  • 区間距離と、その取得方法。
  • 積込み・荷卸しの実績。
  • 貨物の有無を判定した根拠。
  • 取消し、車両変更、欠損、訂正の記録。

距離についても、走行計の差分、デジタコ、GPS、経路検索による推計などの取得方法を区別します。実走行距離と計画上の距離を混在させる場合は、その範囲と条件を明示してください。

未確認の区間が残る場合は、対象全体の実車率を確定値として表示することを避けます。確認できた区間だけの参考値を出す場合も、対象範囲、除外した距離、全体に対する把握状況を併記しましょう。

総走行距離がゼロの場合は、ゼロで割ることになるため、実車率は計算できません。「0%」と置き換えず、走行実績なしなど、理由が分かる表示にします。

実車率だけで改善効果を判断しない

実車率が上がっても、それだけで輸送量の増加、コスト削減、CO₂排出量の削減を断定することはできません。実車率と併せて、総走行距離、空車走行距離、輸送量、積載状況、運行時間などを確認しましょう。

積載効率は、国土交通省の自動車輸送統計では「輸送トンキロ÷能力トンキロ」で説明されています。[1]

公式Q&Aの「積載効率=積載率×実車率」という関係を使う場合も、重量・距離・車両能力の集計条件を整合させる必要があります。異なる車格を含む複数運行について、平均積載率と平均実車率を単純に掛ける方法は避けてください。[2]

また、公式の判断基準では、復荷の確保による実車率の向上や、配車・運行計画の最適化が取組例として示されています。[3]

改善を検討するときは、追加の移動距離、納品条件、荷役負担、費用も確認します。実車率を上げるために、安全性や必要な休憩を損なう運行を組まないことが前提です。

集計前のチェックリスト

  • 対象車両・期間・走行範囲を決めたか。
  • 集荷前や帰庫時の空車区間を、理由なく除いていないか。
  • 実車・空車を実績に基づいて判定したか。
  • 未確認の区間を空車や実車と決めつけていないか。
  • 距離の取得方法と単位をそろえたか。
  • 複数運行は距離を合計して計算したか。
  • 積載率・実車率・積載効率を区別したか。
  • 元データと訂正履歴を確認できるか。
  • 改善施策の安全性と現場負担を確認したか。

まとめ

実車率は、貨物を積んで走った距離を総走行距離で割って求めます。正しく集計するには、対象範囲を決め、積込み・荷卸しに応じた区間の状態を確認することが必要です。

複数運行は距離を合計して計算し、未確認の区間や推計距離は区別して管理しましょう。積載率などの指標も併せて確認することで、空車走行だけに偏らない改善検討につなげられます。

まずは一つの運行について、出発から帰着までの区間、距離、貨物の有無を整理するところから始めましょう。

本記事は、2026年10月15日時点で確認した公式資料に基づく一般的な解説です。区間分類やデータ管理の例は社内運用の提案であり、行政への報告方法を一律に定めるものではありません。公的統計や法定報告に利用する場合は、それぞれの定義・対象範囲・集計方法を確認してください。

出典・参考資料

[1]自動車輸送統計調査の用語(国土交通省、実車キロ・走行キロ・実車率・積載効率)

[2]よくあるご質問・言葉の定義(国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト、積載率・積載効率の定義)

[3]貨物自動車運送事業者等の判断基準等(国土交通省「物流効率化法」理解促進ポータルサイト、実車率向上の取組と安全確保)

計算例は説明用の仮想例です。約66.7%・約33.3%は、小数第2位を四捨五入して表示しています。

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